(社)JEAN
海洋ごみ問題解決のために、クリーンアップキャンペーンを全国規模で展開。 【海ごみサミット】運営など。今回の助成活動は、海ごみを題材にした大人のための環境教育。
http://www.jean.jp/
JEAN
「大人のための海ごみ講座 ~海ごみ・プラごみ 研修会~」
場所東京都港区浜松町日時平成27年11月27日(金)~11月28日(土)
「つり環境ビジョン助成」採択団体のひとつ「一般社団法人 JEAN」は、環境問題に対する関心を高めていくための活動を25年も前から続けています。Action Report第8回目の今回は、JEANが2日間開催した研修会「大人のための海ごみ講座」の様子を取材してきました。
さまざまな人たちが連携し、情報を共有することで
海ごみの問題をひとつひとつ解決していきたい
 美しい海をこどもたちへ。海ごみ問題解決に向けてひたむきな活動を続けているJEANの発足は、現在のように環境意識が高まるもっと前の時代、1990年の9月まで遡ります。日本で初めての「International Coastal Cleanup(=ICC国際海岸クリーンアップ)に参加した有志によって、さまざまな環境問題に対して自ら行動する人を増やしていくことで環境保全に貢献しようという、緩やかなネットワーク組織としてスタートしました。翌年には、日本におけるICCの推進に加え、クリーンアップキャンペーンの活動拠点として「クリーンアップ全国事務局」を発足。以来「JEAN/クリーンアップ全国事務局」として、漂着・散乱ごみの調査結果の集計や、日本のICCやCUW(Cleanup the World)のナショナルコーディネーターとして「オーシャン・コンサーバンシー」や「クリーンアップ・ザ・ワールド」との連絡を行うほか、日本での活動や調査結果等を毎年報告書にまとめ、関係者との情報共有や対策推進のための活動を行ってきました。2009年8月に一般社団法人「JEAN」となった後も、活動姿勢が変わることはありません。前述した活動のほか、海ごみ問題の普及啓発を目的とした講演活動や勉強会を開催したり、写真パネルや「漂着物のトランク・ミュージアム」などの展示物を作成するなど、広報活動にも力を注いでいます。今回、つり環境ビジョン助成の対象事業となった「大人のための海ごみ講座 ~海ごみ プラごみ 研修会~」も、全国各地でクリーンアップ活動をしている代表者などを対象に開催されました。海ごみ問題の解決に向けた取り組みを広げてくための実践プログラムや手法を、参加者と一緒に考えることが目的です。
JEANからは代表理事を務める金子博さん、小島あずささん、五島宏さん、吉野美子さんの4名がスタッフとして会場入り。参加者は全国から集まり、つり環境ビジョン助成採択団体のひとつ「誇れるふるさとネットワーク」の池田龍介さん、千葉港ポートパークかもめのクリーン隊や環境カウンセラーの方など20名弱が意見を交わしました。
これまでのAction Reportでも、クリーンアップ活動時に積極的に採用されていたICCデータカード。日本版のICCデータカードの作成や改訂もJEANが行っています。
 今回の研修テーマは、「海ごみとプラごみ」にフォーカスされたものでした。研修会の中では、海ごみとなる物の中には、川を通じて海域に流出した陸域からの生活ごみも含まれているとの話もあり、その中には、プラスチック由来のごみも少なくないなど、学術的な調査研究の発表など、参加されている方々がさまざまな考え方を学ぶ好機となっていました。

 初日、冒頭でJEAN代表理事の金子さんから、今回の研修会が「つり環境ビジョン助成」による活動であることを説明していただきました。そして最初に登壇されたのが、東京都環境局一般廃棄物対策課の千葉稔子さん。東京都の海ごみ対策のお話をいただきました。東京も東京湾につながる多くの河川があります。散乱ごみの約8割が飲食の容器包装と言われているので、外洋に流れ出る前に回収しなければやがて「海ごみ」になることは明白。散乱ごみは船舶の航行を妨げ、危険を及ぼす可能性があるので、東京都港湾局が東京港の、東京都建設局が河川の清掃活動を行っています。日本人の人口の約1割が生活し、巨大な市街地を抱える都市として、東京都も世界的な問題への対応を迫られていることもお話いただきました。午後からは千葉さんの案内で東京港埠頭へ移動。東京都の清掃船を見学させてもらいました。回収するゴミはペットボトルやポリ袋をはじめ、中にはテレビやタイヤなどの粗大ゴミ、そして台風時における漂着アシや流木なども含まれます。特に今年9月に猛威を振るった台風18号の影響は甚大で、なんと12月までの3ヶ月間で1年間のごみ回収量を上回ってしまったそうです。そうした散乱ごみが海ごみとなる前に回収する東京都の取り組みも重要ですが、ライフスタイルの見直しなど、一人ひとりが改めて考えることがありそうです。
東京都環境局一般廃棄物対策課の千葉稔子さん。海岸管理者、地元自治体、そしてNPO団体と連携し、海外漂着物の回収などの取り組みを積極的に推進していきたいと語っていました。
東京港埠頭に停泊する東京都の清掃船。現在、6隻の回収船が東京港を清掃しています。清掃船が回収したごみはクレーンで積み替え、分別して東京港の中央防波堤の処理場まで運搬。それまでは東京港埠頭でごみを管理しています。
 JEAN主催「大人のための海ごみ講座 ~海ごみ プラごみ 研修会~」の2日目は、東京農工大学 農学部 環境資源科学科の高田秀重教授による講座が行われました。高田先生はプラスチックによる海洋汚染を長年に渡って調査・研究されている方です。この日も「プラスチックによる海洋汚染」をテーマに、じっくりお話をいただきました。一例を挙げると、海に流入するプラスチックの量は20年後には10倍に増加するとも言われているそうで、その意味では、海に流入するプラスチックの量を減らしていくことも、地球規模で考えなくてはいけない課題のひとつと言えるでしょう。高田先生は最後に、「多くの人に現状を知ってもらう活動が、何よりも必要だと思います」と仰いました。環境に優しい社会を作っていくには、JEANをはじめ、「つり環境ビジョン助成」採択団体、そして全国の環境保全団体の取り組みが継続的にサポートされるなど、社会の環境への意識をより高めていくことが大事なのです。

 午後からは、こうした海ごみの問題をもっと伝えていくためにどうすればいいか、参加者全員によるグループワークを実施。すでに海ごみの問題について日々活動をしている方々による白熱したディスカッションにより、「言葉だけで伝えるよりも、写真や映像を織り交ぜ、さらに他業種とのコラボレーションも実行していきたい」、「ゴミ拾いグッズのブランド化を図りたい」、「コツコツと活動していくのもいいけれど、もっと広く知ってもらうために海ごみの日を制定しよう」など、さまざまなアイディアと意見が出されました。
「海ごみの問題は、行政だけ、市民だけ、あるいは企業だけが取り組みを進めても改善していきません。我々JEANを含め、今日参加してくださった方々が所属する組織や団体など多様な情報共有と連携が不可欠であり、そのための話し合いの場や機会を継続的に設けていくことがJEANの大きな役割のひとつだと考えています。「海ごみ? 私には関係ないこと」という人が減っていくことを願っています」(JEANスタッフ・五島宏さん)。つり環境ビジョン助成が、こうして同じ志を持つ方々を繋ぎ、学びの場でもある研修会の開催をサポート出来たことは、非常に嬉しいことです。この「大人のための海ごみ講座」から生まれた繋がりやアイディアが実を結び、地球の未来をより良く変えていくことを願っています。

 次回は荒川河川敷の清掃活動とごみ減量の普及啓発活動を行う「荒川クリーンエイド・フォーラム」のアクションをレポートします。お楽しみに!
東京農工大学の高田秀重教授による講座名は「プラスチックによる海洋汚染」。豊富な研究データと実例を交え、非常にわかりやすくお話いただきました。
グループワークでは、既存資料の活用法について、そして海ごみ問題をもっと伝えるためのアイディアを、参加者が2つのチームに分かれて議論。最後はまとめた意見をチームの代表者が発表し、アイディアを実現するためのディスカッションが行なわれました。