LOVE BLUE
~地球の未来を~
徳島県海部郡美波町由岐
(ゆき)漁港
日時平成28年9月6日(火)〜 8日(木)
9月6日(火)から8日(木)の3日間、昨年に続き由岐漁港での水中クリーンアップ活動を実施いたしました。初日には昨年同様、由岐小学校にて一般社団法人日本釣用品工業会 小島忠雄顧問による環境教育授業が行われ、多くの地元の方々にご協力をいただきました。今回は、由岐漁港の水中クリーンアップ活動の様子を由岐の海を心から愛し、水中クリーンアップ活動を応援してくださった地元の方々の声を織り交ぜながらレポートします。
水中クリーンアップ活動が
地域にもたらすさまざまな意義
 東由岐漁業協同組合と西由岐漁業協同組合がある由岐漁港は、水産資源が豊富な美しい漁港です。つり環境ビジョンコンセプトをもとに進めるLOVE BLUE事業のひとつである今回の水中クリーンアップ活動は、由岐漁港で計3日間行われました。多くの方々にご協力をいただき、初日の環境教育授業は無事終了。LOVE BLUE取材班は、由岐の海を愛する地元の方々にお話を伺うことにしました。

 まずは昨年からこの活動を見守ってくださっている、東由岐漁業協同組合代表理事組合長・宮本勝さんです。
「地元の人は、水中クリーンアップ活動のことを『こんだけの機材を使ってしてくれるなんて、ごっつええなあ』言うてましたね。由岐での漁は、6月1日から9月中旬まで、アワビやトコブシ、サザエのかつぎをする(素潜り漁)のが中心。だから例年、5月31日にみんなで漁場に潜って、有害生物の除去をするんです。また、台風が来ると南風に乗って枝やらゴミが流れてきて、港の中に溜まるから、それをほうきで集めたりしています。いろいろやってはいるけど、海の中は自分らで掃除したくてもなかなかキレイにできないから、水中クリーンアップ活動は、ありがたいですよ」
陸上作業員とプロダイバーがしっかりと連携し、水中クリーンアップ活動は安全第一に行われます。
地元の漁師さんたちのまとめ役でもある東由岐漁業協同組合長の宮本勝さん。由岐の海を愛するおひとりです。
 由岐漁港で水中クリーンアップ活動が行われることには、さまざまな意義があると宮本さんはおっしゃいます。
「活動を見学した子供には環境に対するいい教育になるし、大人たちにとっても『ゴミを捨ててはいけない』と改めて考えてもらう機会になるはず。また、漁港に見学に来たことで、子供たちが漁業に関心をもったり、漁師になるきっかけになったりすれば、とてもうれしいですね。漁師の高齢化が進み、魚も昔ほど獲れなくなっているけれど、やり方次第では、漁業はまだまだ可能性がある。若い子らがちょっとでも漁業をやってくれて、活気あふれる港に戻って欲しいですね」
 次にお話を伺ったのは、大学時代に訪れた由岐の海に惚れ込み、美波町役場産業振興課の職員になられた東京出身の小林大起さんです。今回の環境教育授業に由岐支所職員として関わってくれた小林さんは、由岐の魅力についてこう話します。
「由岐の魅力は、昔ながらの漁師町の雰囲気がそのまま残っているところです。日々の暮らしと海との関わりがとても親密で、地元の人たちが積極的に海に関わってきた町なのだろうと感じています。海との関わりが深い町だからこそ、海と向き合う姿勢を考えることは大事。水中クリーンアップ活動や環境教育授業が行われたことで、子供も大人も『ゴミを捨てないようにしよう』という気持ちを再認識したはずです。これを機に、漁業の町・由岐がさらに活気づいたらいいなと思っています」
大学時代に由岐の海と出会い、美波町の役場職員となった小林大起さん。
由岐の海をもっときれいにしたい。
そして次の世代に託したい
 
 今回の水中クリーンアップ活動では、由岐で生まれ育ったプロダイバーがスタッフとして参加しました。筋野栄作さんです。
「子供の頃から遊び場は海でした。田井ノ浜で泳いだり、シュノーケリングをしたりしていましたね。僕は以前、県外のホテルで働いていたのですが、やっぱり地元の海で仕事がしたくて戻ってきました。ここは何もないけど、それがいいんです。地元の人はみんな顔見知りだし、年上の人とも小さい子供たちとも、お祭りを通してつながりが強いんですよ」
プロダイバーとして今回の水中クリーンアップ活動に参加した地元在住の筋野栄作さん。
 今回、大好きな地元での水中クリーンアップ活動のスタッフとして潜ることができてとてもうれしかった、と笑顔で語る筋野さん。
「見学に来た児童の皆さんがスタッフとして参加している僕を見つけて『あ、兄ちゃんや!』と喜んでくれたのはうれしかったです。うちの親も僕の同級生も漁師なのですが、今回の水中クリーンアップ活動をきっかけに『海を大事にしていこう』という気持ちが高まっているんですよ。これからも、みんなで由岐の海を守っていけたらと思っています」

 最後にご紹介するのは、美波町役場由岐支所職員の浜大吾郎さんです。由岐で生まれ育った浜さん。長男・蒼一郎くんも、由岐小学校の二年生です。
「うちの息子は、前日から『明日は環境教育授業があるんだ。漁港に行くんだ』と楽しみにしていました。この町の子供にとって、海は切っても切れない存在であり、文化です。だからこそ、海の怖さも恩恵も海との付き合い方も学ばせたいと思っています。水中クリーンアップ活動も、その1つですね。息子も今回の環境教育授業を通して、『海が汚れているのはいけないこと』と理解できたようです。港での見学では、さまざまなゴミが海から上がってきて驚いていました」
美波町役場由岐支所職員の浜大吾郎さん。二児の父でいらっしゃいます。
 今回、保護者として環境教育授業にご参加された浜さんは、水辺の環境保全を志向するLOVE BLUE事業の理念に深く共感したと言います。
「水辺をきれいにすることで、美しい自然環境を次世代につなげる。そのLOVE BLUE事業の理念は、"この地域を今よりもっとよくして次の世代に託したい"という私たちの思いと同じだと感じました。由岐では今も、子供は地域で育てるもの、という考えが残っています。その良さを私たちが実行して、次の世代につなげなければと思っていますが、故郷を守るためには今回のように外部の力をお借りすることも必要です。小島顧問のお話を聞いたり、プロのダイバーの仕事に触れたりすることが、子供たちにとって、とてもいい刺激になったと思いますね」
3日間に渡り、由岐の海を清掃した水中クリーンアップ活動。より良い自然環境を次世代に残すための活動として、由岐の皆さんにお役立ていただきました。
 海と暮らす由岐の町。地域全体で子供たちの成長を見守る心温かい町でもあります。地元の皆さんが愛するこの海をきれいにするお手伝いをさせていただくことが出来ました。そしてこのLOVE BLUE事業に対して、たくさんの感謝の言葉をいただきました。

次回のレポートもお楽しみに!
次回をお楽しみに
2016.10.19
徳島県海部郡美波町立由岐小学校 環境教育授業
LOVE BLUE
~地球の未来を~
徳島県海部郡美波町立由岐小学校
環境教育授業
開催日平成28年9月6日(火)
昨年に引き続き徳島県、美波町、東由岐及び西由岐漁業協同組合よりご要望をいただき、9月6日から8日の3日間、由岐漁港の水中クリーンアップ活動が行われました。そして今年もまた、地元の由岐小学校の教育プログラムと連携する形で、つり環境ビジョンコンセプトをもとに進めるLOVE BLUE事業の一環として、環境教育授業を実施。昨年以上に充実した内容となりました。
環境教育授業を通して、
海を大切にする気持ちを育てたい
 縄文時代の遺跡「田井遺跡」が残る、徳島県海部郡美波町の由岐地区。古くから良港として知られる、風情ある漁師町です。昨年に引き続き、今年もこの由岐漁港で9月6日から8日の3日間、水中クリーンアップ活動が行われました。
 活動初日の6日には、昨年と同様に、一般社団法人 日本釣用品工業会の小島忠雄顧問による環境教育授業が地元の由岐小学校で実施されました。
水中クリーンアップ活動が行われた由岐漁港。海は町の中心的存在です。
由岐小学校、校長の池本一彦先生。由岐の海を守ることの大切さを、優しい笑顔でお話ししてくださいました。
 昨年の環境教育授業は4年生、5年生と6年生でしたが、今年は1年生から6年生までの全校生徒が対象です。さらに、保護者の方にも参加を呼びかけて下さいました。
「本校の児童の半分は、親や祖父母が何らかの形で漁業に関わりがあると思います。地元の方にとって、海は理屈なしに愛着があるのです」
 そうおっしゃるのは、出迎えてくださった美波町立由岐小学校 池本一彦校長です。地域と海の強い関わりを教えてくださいました。
 この町の暮らしと切っても切れない海をもっと児童に知ってもらおうと、由岐小学校では6年前から「水に賢い子を育てるプログラム」、通称「水プロ」を授業に取り入れています。地元の箆野(ぬの)島でカヌーをしたり、田井ノ浜で生き物を観察したりするほか、海の災害への対策についても学びます。
「ここ由岐地区は、南海地震など、大きな地震で津波の被害を受けてきました。2年前には本校の裏の避難路が整備されたのですが、『安全に避難できるように』と、6年生が自主的に毎朝10分ほど掃除しているんですよ」
 由岐小学校での環境教育授業のねらいについて、池本校長は、こうおっしゃいます。
「自然を愛する心は郷土を愛する心につながり、社会や周囲の人々を愛する心につながるはず。そうした意味でも、環境教育授業は非常に意義があります」

 給食後の5時間目。体育館に全校児童55名が揃い、環境教育授業が始まりました。
 小島顧問が「この中で、釣りをやったことある人」と尋ねると、ほとんどの児童の手が上がりました。
「海が汚れれば魚がいなくなり、山の木がなくなれば酸素がなくなって、人間は生きていけなくなってしまう。次の世代が安心して暮らせるよう、海や川を掃除して、きれいな自然を残してあげなければいけないのです」
 低学年の皆さんにも伝わるよう、わかりやすい言葉とイラストを使いながら、小島顧問は優しく語りかけていきます。
由岐小学校体育館での環境教育授業の様子。小島顧問は、低学年の児童の皆さんにも伝わるよう、イラストや動画をふんだんに盛り込んで説明していきます。
 これまで日本各地で行ってきた水中クリーンアップ活動の様子も、小島顧問によって説明されました。清掃前の水中の様子を写した動画が流れると、児童たちは「ビールの空き缶や!」「ビンもある!」と驚いた顔。水の中にあったゴミの量や種類の多さにびっくりしたようです。
「海は、魚のおうち。みんなも自分のおうちの、ご飯を食べているところにゴミがあったらいやだよね?」と呼びかけると、児童の皆さんも納得した様子。
「海は世界中の海とつながっていますから、海をきれいにすることは世界をきれいにすることにつながります。どこにいる時でも、自分のおうちだと思って過ごすことが大切です。自分のおうちだと思ったら、ポイ捨てしませんからね」
 最後に小島顧問が「みんなで地球を守っていきましょう」と児童の皆さんに呼びかけ、体育館での授業が終わりました。
小島顧問による環境教育授業は5時間目、約40分間行われましたが、1年生から6年生まで、皆さん最後まで真剣に耳を傾けてくれました。
水中クリーンアップ活動を見学し、
海を大切にする気持ちを再確認する子供たち
 ――――――――――――――――――
 体育館での授業が終わると全員で由岐漁港へ移動し、水中クリーンアップ活動の見学に行きました。あいにくの雨でしたが、安全対策を万全に整えたプロダイバーが岸壁から海へエントリーする様子を見守ります。
由岐小学校の児童の皆さんは、4名のプロダイバーが陸上スタッフのサポートを受けながら、次々と海へエントリーする様子を見学しました。
 児童の皆さんを代表して6年生の彌野みなみさんと川西紗瑛さんが、海中のダイバーに無線で質問をします。
彌野さん「海の中は冷たいですか?」
ダイバー「27℃でちょうどいいです」
川西さん「どのくらい見えていますか? またどんなゴミがありますか?」
ダイバー「約2m先までは見えています。空き缶などがありますね」
 二人とダイバーのやり取りに、他の児童の皆さんも海をじっと見つめます。
海の中の様子をダイバーに尋ねる彌野みなみさん。
川西紗瑛さんは、水の透明度やゴミの種類を質問しました。
 いよいよ、大型ゴミの引き上げです。最初にクレーンでタイヤが引き上げられると、「タイヤだ!」「刑事ドラマのシーンみたい!」とみんな大興奮。ゴミが上がるたびに「オーブントースター!」「自転車や!」「空き缶だ!」と歓声が上がります。先ほどダイバーと無線で話した川西さんは、熱心にメモを取りつつ「去年と比べると大きなゴミは少ないと思います」と感想を話してくれました。
大型ゴミの引き上げには、児童の皆さんは大興奮。引き上げられたゴミを、身を乗り出して見つめます。
 最後に、6年生の川尻千尋さんが「今日は僕たちに水中クリーンアップや海のことを教えてくださって、ありがとうございました。学んだことを地域の人にも伝えて、これからも海をきれいにしていきたいです」と児童の皆さんを代表してお礼の挨拶をしてくださいました。
「海をきれいにしていきたい」と話してくれた、児童代表の川尻千尋さん。とても充実した環境教育授業となりました。
「水プロ」担当の張間尚久先生も由岐の町で生まれ育ちました。
 今回の環境教育授業について、水プロをご担当されている張間尚久先生は、こう語ります。
「昨年もこの授業を受けた5、6年生は、由岐の海を大切にすることを再確認できたでしょうし、今年初めて授業を受けた低学年の児童は、いつも見慣れているきれいな海にあんな大きなゴミが落ちていることに驚き、環境問題への気づきに繋がったと思います。今後は学校でも各学年のレベルに応じて、『なぜゴミがあるのか』『海や町をきれいにするために何ができるか』と児童が自分で考えられる学習につなげていきたいと考えています。4、5年生は特に、通常授業でも環境学習やゴミに関する学習を行う予定ですので、今回の環境教育授業の内容とうまくつなげていきたいですね」
 小島顧問の話に真剣な顔で耳を傾け、海から引き上げられたゴミの一つひとつに目を丸くした由岐小学校の児童の皆さん。今回の環境教育授業が子供たちの環境への意識を高め、由岐の海を守る一助となれたとしたら、大変うれしいことです。由岐小学校で行った授業経験を活かし、未来を担う子供たちと、そのまた次の世代に美しい自然環境を引き継ぐことにお役に立てていただけるような環境教育授業を行っていきたいと考えています。

次回は、由岐漁港での水中クリーンアップ活動の様子と地域の皆さんの由岐の海への想いをレポートします。お楽しみに!
次回をお楽しみに
2016.8.31
三重県熊野市二木島町二木島(にぎしま)港
三重県熊野市二木島町二木島(にぎしま)港
日時平成28年5月10日(火)〜14日(土)
サンマ漁発祥の地とも言われる三重県熊野市。その熊野市二木島(にぎしま)港で5月初旬、つり環境ビジョンコンセプトをもとに進めるLOVE BLUE事業、社会貢献事業としての水中クリーンアップ活動が初めて行われました。二木島港は豊富な漁場に恵まれ、サンマ漁はもちろん、さまざまな漁が盛んに行われている美しい海でした。
地元メディアも注目。
水中クリーンアップ活動で世界をおもてなし
 5月初旬、LOVE BLUE取材班は三重県熊野市を訪れました。眩しいほどの新緑の山道を越えると、紺碧の海が現れました。二木島湾の一番奥に位置する二木島(にぎしま)港です。港に到着すると、船で海から戻って来た熊野漁業協同組合 理事の山下眞次さんが私たち取材班を出迎えてくださいました。
「二木島と隣の遊木(ゆき)は昔からサンマ漁が盛んでね。夜中に船の上で明かりをつけると、サンマの群れがわーっと寄ってきて、棒受け網にサンマがボンボン入ってくる。いろんな漁をやったけど、やっぱりサンマ漁が一番面白いね。今も、お正月には必ずサンマ寿司を食べるよ。サンマの姿寿司なんやけど、その家ごとに作り方があるから、僕の嫁も母に教えてもらったりしとったね」
熊野漁業協同組合 理事の山下眞次さん。終始笑顔で、取材に応じてくださいました。
 今回の水中清掃は三重県、三重県漁業協同組合連合会及び熊野漁業協同組合の皆様からのご要望を受け、ここ二木島港では初めての実施となりました。5月26日、27日に開催された伊勢志摩サミット前の実施であったことから、三重県全体で伊勢志摩サミットを応援する伊勢志摩サミット三重県民会議「おもてなし大作戦」の協賛をいただき、伊勢志摩サミット30日前イベント「G7伊勢志摩サミットLOVE BLUE ~地球の未来を~ 水中清掃活動 in 三重(熊野市)」として実施することとなりました。水中クリーンアップ活動当日は地元メディアの方々も取材に来てくださり、私たちの活動を広く伝えてくださいました。

 二木島港で水中クリーンアップ活動に携わったダイバーや陸上作業員は、二木島港の印象をこう語ります。
「二木島港は水の透明度が高く、本当に美しい港です。地元の方々も温かく『水の中の掃除、ご苦労さま』と声をかけてくださいました。子供たちも『海に潜ってゴミ拾いするなんて、すごいね』と興味深く水中クリーンアップ活動を見学していました」
二木島港は自然豊かな美しい場所です。近くに港に流れ込む川があり、川底が見える澄んだ水が流れていました。
 さて、二木島湾の奥に位置し穏やかで水もきれいな二木島港では、昔から養殖が行われています。山下さんが漁師となった40年前は、ハマチの養殖が行われていたそうですが、今はマダイやマグロの養殖が二木島湾で行われています。
 こうした養殖事業にも関わっている山下さんは、水中クリーンアップ活動の話を聞いた時、「海に潜る人は大変。疲れそうやな」と思ったそうです。
「いや、自分も潜っとったもんでね。漁に出て船のプロペラにロープが絡まった時は海に潜って切ったりするの。だからね、潜って作業するのがえらい(疲れる)、大変なことだってわかるんですよ。おまけに、ただ潜るだけじゃなくて、海の中の荷物を引き上げるから、それも大変やしね」
二木島港内にあるマダイの養殖場の様子。生簀(いけす)内ではマダイが元気に泳いでいました。
海の中の清掃は本当にありがたい。
地元の人々からいただく感謝の言葉
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 ご自身の体験から「大変そうだな」と思ったと同時に、「海をきれいにしてもらって、ありがたいよ」と山下さん。
「二木島港は湾の奥やから、流されてきたゴミが溜まりやすいんでね。僕らも岸壁の上は掃除するけど、海の中は専門の技術や装備がいるし、お金もかかるし、自分らではできないでしょう。だから、みんな『ありがたい』と言っているよ。水中クリーンアップ活動が始まって一番びっくりしたのは、作業員さんたちがみんな礼儀正しいこと。誰かが通るたびに丁寧に挨拶してくれるから、ここの若い子らもみんな関心しとったよ。水中クリーンアップの時はちょうど、潮が巻いて海の底が濁っていたから、作業も大変だったと思うよ。ここは黒潮だけじゃなくて、底から入り込んでくる潮もあるからね。」
水中クリーンアップ活動は清掃期間中毎日、午前8時00分からスタート。夕方まで計4本、安全管理を徹底し、プロダイバーは水中に潜ります。活動を行った5日間すべて天気に恵まれ、気持ちいい初夏の日差しのなかでの実施でした。
サンゴが育つ二木島港、
この美しい海を後世に伝えたい
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 近年はサンマの漁獲量も漁師さんの数も減ったことから、二木島港では現在、人手が必要なサンマ漁をやる人が徐々に減っていると、山下さんはおっしゃいます。山下さんは遊漁船も経営していますが、遊漁船「しんちゃん丸」の船長として、釣り人をカセ釣り(小船での釣り)に案内されています。
「タイやカワハギも釣れるけど、お客さんが一番狙うのはヘダイやね。あとは、ブリ。お客さんは細い竿と糸で釣っとるけど、僕はテグスを手に巻いて釣るの。そうすると、『船長、漁師みたいだね』ってお客さんに笑われるんやけどね」
日焼けした笑顔で、山下さんは語ります。

 カセ釣りのお客さんの様子を見に海に出るという山下さんの船に、私たち取材班も乗せて頂けることになりました。ライフジャケットを着て船に乗ると、いよいよ出航です。港を出て間もなく、マダイの養殖をしている生簀(いけす)が見えてきました。船の上からでも、生簀を泳ぐ赤い魚影がはっきりわかるほどの透明度です。
「今日はこれでも濁っている方やね。いつもは15mくらい下まで見えるからね」
そう教えてくださった山下さんは、とても誇らしそうです。

 船が外海に近づくにつれて、うねりが強くなってきました。岬の先端には、室古(むろこ)神社の石の鳥居が外海に出る漁師さんを見守るように佇んでいます。
 マダイの他にもクロマグロの生簀があったり、緑色に澄んだ浅瀬があったりと、二木島湾はさまざまな表情を見せてくれます。
熊野漁業協同組合 理事の山下眞次さんは、取材班を船に乗せてくださり、二木島港を案内してくださいました。
船上から、古事記や日本書紀にて初代天皇とされる神武天皇の兄、稲氷(いなひ)命を祀った室古神社の鳥居が見えました。
 港に戻ると、山下さんが岸壁から海の中を指さして言いました。
「あの黒く見えるのは、小さい枝のサンゴ。港内でサンゴが育つのは珍しいんだよ。僕が高校を出たばっかりの頃、海に潜った頃は、こんなんやった(20cmくらい)やったけど、40年以上経って、いまはこんなに(1mくらい)大きく育った。世界最北のサンゴ群生地と言われる(和歌山県)串本の人がここに来た時、サンゴを見て、『これは美しい。大事にしてくださいね』と言っとったね。サンゴも育つ二木島の美しい海は、これからもずっと守っていかなきゃいけない。今回、二木島はLOVE BLUEの水中クリーンアップ活動できれいにしてもらったから、他のところもやってもうたら、みんな喜ぶと思うよ」

 地元の人々が大切に守ってきた美しい海。二木島港の海は本当に美しく、この美しさを後世に伝えていくことが大切です。つり環境ビジョンコンセプトをもとに進めるLOVE BLUE事業の水中クリーンアップ活動は、これからも水辺の環境保全に取り組んでいきます。

次回のレポートもお楽しみに。
参考文献/熊野市史上巻(熊野市史編纂員会)、熊野市史年表(熊野市史年表編集委員会)
次回をお楽しみに
2016.8.23
Special Interview ~ 三重県鳥羽市 木田久主一(きだ・くすいち)市長 ~
Special Interview
~ 三重県鳥羽市 木田久主一(きだ・くすいち)市長 ~
三重県鳥羽市役所市長室
日時平成28年5月19日 10:00〜
5月26日、27日に三重県で開催された「G7 伊勢志摩サミット2016」。オール三重の官民合同で組織された伊勢志摩サミット三重県民会議が主体となって、サミットに訪れるすべての方をきれいな環境と美しい花、温かい心で歓迎しようと、「おもてなし大作戦」が展開されました。今回サミット前の4月24日から28日に鳥羽市中之郷港で行われたLOVE BLUEの水中クリーンアップ活動は、G7伊勢志摩サミット2016の「おもてなし大作戦」の取り組みに合わせ、サミット開催前の4月24日から28日に実施したため、伊勢志摩サミット三重県民会議「おもてなし大作戦」の協賛として正式に登録いただくことになりました。三重県鳥羽市内でのこれまでのLOVE BLUE事業にご理解・ご協力いただいたことへの感謝をお伝えするため、平成28年5月19日(木)、鳥羽市 木田久主一市長を一般社団法人日本釣用品工業会 島野容三会長が表敬訪問いたしました。
伊勢志摩サミット三重県民会議「おもてなし大作戦」協賛として
水中クリーンアップ活動を実施させていただいたことへの感謝
この度はサミット前のお忙しい時に表敬訪問を受け入れていただき、ありがとうございます。
今日はわざわざおいで頂き、ありがとうございます。私も「こちらがお礼に行かなければ」と思っていたんですよ。
私どもはLOVE BLUE 〜地球の未来を〜 をスローガンに、社会貢献のひとつとして、水中クリーンアップ活動に取り組んでおります。ここ鳥羽市で4月24日から28日までの5日間、活動させて頂くにあたり、伊勢志摩サミット三重県民会議「おもてなし大作戦」の協賛に加えていただき、伊勢志摩サミット30日前イベント「G7伊勢志摩サミットLOVE BLUE 〜地球の未来を〜 水中清掃活動in三重(鳥羽)」として実施することができました。いろいろとご配慮いただき、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。鳥羽には釣りを楽しむ方が多くいらっしゃるのですが、こうしてみなさんが水中クリーンアップ活動を行い、海をきれいにしてくださることが、釣りのイメージを良いものにしていくのではないかと思います。
はい。少しずつですが評価をいただいておりまして、昨年は全国39カ所で、150日の清掃を実施させていただきました。私どもの水中クリーンアップ活動はプロのダイバーが行っていますので、安全管理を徹底しながら、長い時間水中で作業ができるのです。事業開始から4年たちますが、無事故でこの事業を実施しています。
なるほど。それは頼もしいですね。
はい、水中クリーンアップ活動は、LOVE BLUE事業として取り組む社会貢献事業の中心に据えております。このたび、市長直々のお声かけで、鳥羽港の清掃の機会を頂戴し、さらには、G7伊勢志摩サミットへの「おもてなし大作戦」に加えていただくことができまして、我々といたしましては、これまでの活動に、ひとつの大きな「格」をつけていただくことになりました。改めて、御礼申し上げます。
鳥羽の海の清掃に取り組むLOVE BLUE事業に感謝    ――――――――――――――
鳥羽は海女と真珠のふるさとなので、きれいな海を守り続けることをとても大切に考えています。ですから、鳥羽の海をみなさんにきれいにしていただいて感謝しています。鳥羽市のこのロゴは、鳥羽市観光キャンペーンガールを務めている三世代続く海女の娘さん、中川静香さんが海に潜っている姿をモチーフにしているんですよ。
ああ、なるほど! 全国に約2,000人いらっしゃる海女さんのうち、500人以上の方が鳥羽にお住まいだそうですね。それだけ、鳥羽の海が豊かだということですね。
木田市長への島野会長による表敬訪問は、終始にこやかに、LOVE BLUE事業や地域経済に釣りがもたらす好影響などに関して意見交換が行われました。
釣りは鳥羽にとっても大切な産業
LOVE BLUEの水中クリーンアップ活動に大きな期待
   ―――――――――――――
LOVE BLUE事業では、地球環境保全、持続可能な自然環境構築を大きな志として据えておりまして、その下で水中クリーンアップ活動や魚の放流などもやっております。
LOVE BLUE事業には、たくさんの企業さんが参加なさっているんですね。
ええ。釣り関連の多くの企業に協賛していただいておりまして、商品の売上げの一部をメーカーがメーカーの全国団体である当工業会に納めていただき、その資金で社会貢献事業を実施しております。ですから、私どもは完全に業界の自主財源で活動しております。
こうした活動に賛同される企業さんがこんなにたくさんいらっしゃることがすごいですね。多くの企業が志を同じくして参加されていることが本当に素晴らしい。釣りに対するイメージが大きく変わってくると思います。
ありがとうございます。業界を挙げてやっていこうと平成25年から事業を開始し、活動は今年度で4年目に入ります。
鳥羽には釣り船がたくさんありますし、釣りを目的に訪れる人たちの宿泊で経営が成り立つ宿もあります。このように釣りは一つの産業ですから、鳥羽市にとって本当にありがたいものなのです。釣りは鳥羽の地域経済に好影響を与えています。
そう言っていただけると、私どもとしてもありがたいです。今後も業界をあげてLOVE BLUE事業で地球環境保全、持続可能な自然環境構築を目指し、その一環として水中クリーンアップ活動を行ってまいります。
陸上と違って、海にゴミを捨てても見えませんので、気楽に捨ててしまう人もいます。その辺りの意識改革も含めて、どうぞよろしくお願いいたします。
水辺をきれいにするため、これからも水中クリーンアップ活動で水中のゴミを回収していきます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。
こちらこそ、いい機会をありがとうございました。
木田久主一(きだ・くすいち) 鳥羽市長
平成17年4月鳥羽市長就任(3期目)
島野容三 一般社団法人日本釣用品工業会 会長
(株式会社シマノ 代表取締役社長)
 
○表敬訪問を終えて・・・
「G7 伊勢志摩サミット 2016」が一週間後に迫り、三重県全体がサミット一色に染まるお忙しいなか、快く表敬訪問を受けてくださった、木田久主一市長。鳥羽にとって大切な美しい海に貢献したつり環境ビジョンコンセプトをもとに進めるLOVE BLUE事業を高く評価してくださり、感謝の言葉をいただきました。LOVE BLUE事業へのご理解とご協力に、改めて感謝申し上げます。今後とも、鳥羽市とのご縁を大切にしながら、地球環境保全、持続可能な自然環境構築のために、水中クリーンアップ活動を続けていきたいと思います。
次回をお楽しみに
2016.8. 3
千葉県南房総市乙浜漁港
三重県鳥羽市中之郷港
日時平成28年4月24日(日)〜28日(木)
5月26日・27日に開催された「G7 伊勢志摩サミット2016」により、大きな注目を集めている三重県。その三重県鳥羽市で、昨年に引き続きプロダイバーによる水中クリーンアップ活動が行われました。鳥羽市での水中クリーンアップ活動は今回で3回目。その社会貢献活動を評価いただき、今回、鳥羽市がこの活動を後援してくださることになりました。
海女さんと真珠のふるさと
鳥羽の海の玄関口をきれいに
 世界で初めて真珠の養殖がおこなわれ、市全体が伊勢志摩国立公園に指定されている鳥羽市。戦国時代には九鬼水軍の本拠地として鳥羽城が築かれました。

 今回、水中クリーンアップ活動が行われたのは、歴史ある鳥羽城址の東南にある中之郷港。G7 伊勢志摩サミット前の4月24日(土)〜28日(木)に実施されました。「LOVE BLUE ~地球の未来を~」をスローガンに三重県下で2年間、社会貢献活動としてプロダイバーによる水中クリーンアップに取り組んできましたが、3回目となる今回、この活動を鳥羽市が後援してくださることになりました。また、三重県全体で伊勢志摩サミットを応援する「伊勢志摩サミット三重県民会議」への協賛としても登録いただき、伊勢志摩サミット30日前イベント「G7伊勢志摩サミットLOVE BLUE ~地球の未来を~ 水中清掃活動 in 三重(鳥羽市)」として実施することとなりました。これを受け、外務省からもG7伊勢志摩サミットロゴ使用の許諾をいただくことができ、LOVE BLUE事業が社会的に高く評価されるようになってきました。
4月24日(木)より行われた水中クリーンアップ活動は天候にも恵まれ、各日、午前8時00分より安全第一に活動を開始。夕方まで計4本、プロダイバーが水中に潜り、クリーンアップ活動を行いました。
 LOVE BLUE取材班が現地を訪れると、鳥羽市定期船課 課長の齋藤貞之さんが中之郷港について教えてくださいました。
「中之郷港には鳥羽市営定期船の乗り場があるほか、民間の運搬船や船への給油船、海上保安庁の巡視船、鳥羽の漁船やほかの地域の漁船など、あらゆる船がこの港を利用しています。また、中之郷港は避難港にもなっているんですよ」

 いわば、ここは鳥羽の「海の玄関口」。鳥羽には「答志島(とうしじま)」(LOVE BLUEは平成25年に答志島桃取漁港の水中クリーンアップ活動を実施)「坂手島(さかてじま)」「菅島(すがしま)」「神島(かみじま)」の4つの離島があり、観光客はもちろん、通勤や通学、買い物などで利用する地元の人にとって、市営定期船は大切な移動手段なのです。
鳥羽市定期船課 課長の齋藤貞之さん。鳥羽の海の美しさについて教えてくださいました。
 鳥羽市でのつり環境ビジョンをコンセプトに進めるLOVE BLUE事業の水中クリーンアップ活動は3回目の実施となりますが、私たちの活動が地元の方々にスムーズに受け入れていただけた理由を、齋藤さんはこう話してくださいました。
「鳥羽では毎年海の日の前に、鳥羽市が事務局を務める鳥羽清港会主催の『海の大掃除』が行われています。鳥羽清港会には市内外の約60団体の会員がおり、海の大掃除の時は多くの人が参加して、鳥羽マリンターミナルがある佐田浜港や海岸などを清掃します。鳥羽の人たちは昔から、美しい鳥羽の海を守ろうという意識が高いのです」

 例年は7月に行われるそうですが、「G7 伊勢志摩サミット2016」が開催された今年は、中之郷港の水中クリーンアップ活動初日でもある4月24日に「第39回海の大掃除」として実施されました。こうした活動を通して、地元の人たちの間には「海をきれいにしよう」「海を大切にしよう」という認識が強く根付いています。だからこそLOVE BLUE事業の水中クリーンアップ活動に対しても、美しい海を守る仲間として、温かく迎え入れてくださったのだと、斎藤さんは語ってくださいました。
陸上で清掃活動をしていた地元の小中学生や家族連れなどが、水中クリーンアップ活動に興味をもってくださいました。「ダイバーが潜っている! 海の中をキレイにしてくれているんですね」と声をかけてくださり、温かく応援してくれました。
「鳥羽の人たちにとって海は生活の場であり、観光資源です。また、通勤や通学、島への物資の運搬などに使う船とともに、海は暮らしに密着した存在なんです。それに、鳥羽は海女さんと真珠のふるさとですから、海がきれいでないと。ですから、参加者の方は皆さん、とても真剣に掃除しているんですよ」

 現在、日本に約2,000人いると言われる海女さんのうち、約500人がここ鳥羽市に暮らしています。市内には海女さんのおしゃべりを聞きながら新鮮な魚介が食べられる「海女小屋体験」がいくつもあるほか、女性の願いを一つ叶えてくれると評判の「神明(しんめい)神社(石神さん)」を始め、海女さんの信仰を集める神社があり、鳥羽市には多くの観光客が訪れます。
神明神社は天照大神を主祭神とする神社。参道に「石神さん」と呼ばれる小さな神社があり、女性の願いを叶えてくれると言われています。
地元の人々が愛してやまない豊かな鳥羽の海    ――――――――――――――――
 答志島で生まれ育った齋藤さんに、鳥羽の海の魅力について尋ねると、笑顔でこう話してくださいました。
「海が一年で一番いい季節は、やはり気候のいい五月頃ですね。春先は霧が出て船が出せないこともありますし、低気圧が来ると波や風が強くなったり、冬は北西風が強かったり。でも、それも全部含めて、鳥羽の海なのだと思いますね。また、鳥羽の魅力は、何と言っても海産物がおいしいこと。この辺りには、太平洋からの潮の流れと伊勢湾からの淡水が混じった潮の流れが入ってくるので、同じ鳥羽でも場所によって獲れる魚の大きさや種類、味まで違うんですよ」
鳥羽の海の透明度は高く、特に晴れた日は、空と海の美しさが引き立ちます。
 LOVE BLUE取材班は齋藤さんにお話をうかがった後、鳥羽城址に上ってみました。高台にある本丸跡からは鳥羽湾が一望できます。青い海と、その向こうに見える緑萌える島々の眺めは、まさに大自然が織りなす豊かさそのものでした。LOVE BLUEをスローガンに掲げる水中クリーンアップ活動は、今後も日本全国で、このような海の豊かさと美しさを守るお手伝いをしていきます。
鳥羽城址 三の丸(右)と城址から望む鳥羽港(左)。鳥羽城址から鳥羽港を一望できます。
次回のレポートは5月19日(木)に行われた、木田久主一鳥羽市長への一般社団法人日本釣用品工業会 島野容三会長による表敬訪問の様子をお届けします。どうぞ、お楽しみに。
次回をお楽しみに